節税対策ー納付する相続税額をいかに少なくするか

納付する相続税額をいかに少なくするか

 まず考えられるのは、財産の総額を減らすこと。なかでも基本的で有効な手段が生前贈与です。
 また、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産を贈ったときなどには、最高2000万円まで贈与税がかかりません。
 贈与税の税率は、相続税よりも高く設定されていますが、こうした控除や特例を利用することが有効です。
 ほかに節税策としては、相続人の数を増やすこと、借入れをしてアパートなど賃貸用建物を建て、財産を圧縮する方法もあります。

生前贈与

(1)連年贈与で確実に財産を減らす
 贈与税には年間110万円の基礎控除があります。
(2)配偶者居住用財産控除を活用する
 結婚20年以上の夫婦なら、配偶者への居住用財産控除として2000万円の控除特例を利用できます。 (3)相続時精算課税制度を選択する
 65歳以上の親(贈与者)から、20歳以上の子ども(受贈者)に贈与する場合、この制度を選択すると2500万円の特別控除があります。贈与税は、これを超える部分に一律20%が課税されます。
 相続時精算課税制度は、相続税の前払いともいうもので、相続時に、贈与時の時価で相続財産の対象となり精算されます。
(4)子どもを飛び越して孫に贈与する
 子どもを飛び越して贈与すると、今回の相続だけでなく、次の子どもの相続時の財産も減らすことができます。

相続人数を増やす

 法定相続人に含める養子の数は、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までです。相続人の数が増えることにより、基礎控除が増える、累進税率が下がる、生命保険や死亡退職金の非課税枠が大きくなる等節税効果があります。

アパートなどの建設

(1)土地の評価が下がる
 遊休地にアパートなどの貸家を建てると、土地が貸家建付地評価となり評価が下がります。
(2)建物の評価額が下がる
 建物の相続税評価額は固定資産税評価額とされていますが、固定資産税評価額は概ね建築費用の60%とされています。さらに建物が貸家評価となることから、自用の70%で評価されます。
(3)借入金で負債評価とする
 建築資金などの借入金は、債務控除として相続財産から控除できます。